1975年に創業したサンコー物産の創業者である細川三郎氏は、70歳になったのを契機に2人の息子に事業承継を行った。事業承継から2年経過したとき、友人の勧めで受けたコーチングにより、自分自身だけでなく後継者である息子の考え方も大きく変化したと言う。事業承継におけるコーチングとはどのようなものなのか。また大きく変化したきっかけは何だったのか。さらにその利点は何なのか。詳しくお話を伺った。 1.サンコー物産の事業形態― サンコー物産の事業形態を教えてください。 サンコー物産株式会社は1975年に私がそれまで勤めていた会社から一部独立すると言う形で創業しました。主な事業は金属建材の製造と販売、樹脂建材の販売、外構工事、内装床工事です。最近ではホームセンターやゴルフ場資材納入部門の新規事業本部を設置し末端ユーザーの信頼も得ています。 2.事業承継に至る経緯 (ワンマン社長から70歳での退任まで)― 事業承継においてコーチングを受けたという事ですが、サンコー物産の事業承継について詳しく教えてください。 サンコー物産は1975年、私が38歳の時に創業しました。それからは経理を担当してくれた家内と二人三脚でここまで成長させました。どちらかというと創業者にありがちな「超ワンマン」な経営だったかなと思います。私には双子の息子がおりましたが、それぞれが薬学、建材と事業とは別の会社に勤めていましたから、事業承継についてはあまり深く考えていませんでした。 3.事業承継後の問題意識 (どうやったら息子たちは変わるのか?他責にしていた)― コーチングを受けるに当たって、2人のご子息への事業承継に問題意識があったのですか。 事業を承継したといっても、今から思えば実態は何も変わっていませんでした。経営に当たっての決定は全て私が行っていましたし、何か問題が起こって皆で解決策を話し合おうという事になっても、聞く耳を持ちませんでした。相変わらず「超ワンマン」体質が続いていたわけです。 4.末松コーチとの出会い― トップコーチングスタジアムの末松さんを知ったきっかけは何ですか。 私とは旧知の仲であるサンワ・リノテック株式会社の佐川博敏社長が、末松さんを紹介してくれました。末松さんはご自身で株式会社バーテックを、まだ20歳代の息子さんに事業承継しました。親子間の事業承継を成功させた上で、ご自分は経営の一線を退き、その経験を生かしてコーチングという全く新しい事業を一 から始められたと伺い、これはいっぺん話を聞いても損にはならないだろうと思いました。 ― コーチングを受けられたのはいつ頃ですか。 2009年の4月に無料のオリエンテーションを受けました。本格的にコーチングを受けたのは5月からです。1週間に1度、40-50分くらいの電話でのセッションと、1ヶ月に1度、1時間くらいの対面でのセッションがありました。 5.コーチングの最初の印象 (コーチングって 頼りない ・・・・?)― 最初にコーチングを受けたときの末松さんの印象を教えてください。 末松さんは、よく言えば聞き上手。悪く言えば頼りないなあと思いました。「これが末松流や」というパンチが感じられなかったからです。というのも最初の 頃、私は「コーチング」と言うものがどういうものかよくわかっていませんでした。問題点を話したらコンサルタントのように答えを末松さんが教えてくれると 思っていました。ところがそうではない。私は話す一方で、末松さんは聞く一方。そして「答えは細川さん自身の中にある」とおっしゃる。意味がわからず、大丈夫かなと思いました。 6.コーチングを受けるにつれ、素直な気持ちに (自分自身を省みる)― 最初の印象は、コーチングを受けるに従って変わりましたか。 末松さんは、承認してくれたり、よく聞いてくれたので自分でも面白いように変わっていきました。例えば、創業前に勤めていた会社の社長の話をしながら、「あの社長は立派やったな。それに比べて自分はどうやろ?超ワンマンやな。もっと人の話を聞いて、任せるところは任せんといかんな」と自分を省みました。 7.後継者である息子達も変化 (自分が変わることで、息子たちも積極的に行動しだした)― 3ヶ月のコーチングが終わった今、変化したことはありますか。 まず、私自身が変わりました。社長・副社長である息子達の話や意見に耳を傾けるようになり、決断も息子達に任せるようになりました。「超ワンマン」から脱却し、究極のリーダー像である「空気のような存在」になるように努力しています。私は後ろでどーんと構えていようと思えるようになりました。 8.考え方を変えた、末松コーチならではのセッションの魅力とは― ご自身の考え方を変えた末松さんのコーチングの魅力は何だと思いますか。 大きく言って4つあると思います。 ◆マンツーマン(1対1)で双方向のコミュニケーションであること ◆レポートを見ながらじっくり考え直すことができること ◆話を聞きだしてくれたこと ◆本音で、ズバズバ フィードバック 経営者は孤独で す。特に私のように超ワンマンでやってきていればなおさらです。息子への事 業承継となると、事業者と後継者というだけでなく、親と子のコミュニケー ションも問題になってきます。そんな時、末松さんはご自身の経営者の体験を踏まえて、本音でズバズバものを言ってくれました。行司役となり、鏡となって、 デリケートな領域に入ってくれた。それは資格だけ持っていれば良いというものではなく、経営者の体験を活かしてのコーチングとなっていたように思います。 9.中小企業にとって理想の事業承継とは― 細川会長は事業承継を70歳になって行いましたが、最適な時期・タイミングはいつだとお考えですか? 会社員の定年は60歳ですよね。これは良く考えられているなと思いますよ。体力・知力はまだまだあるとは思っても、少しずつ衰えを見せ始める。そんな時期が60歳です。その頃までに事業承継について考えるべきではないでしょうか。私は少し遅かったようです。70歳にもなって何をやっているのやと、サンワ・リノテックの佐川社長も心配してくれたのかもしれません。 10.今後のビジョン― 細川会長の今後のビジョンをお聞かせください。 コーチをつけてからの1年間、つまり来年の5月までに事業承継を完全に終わらせようと思っています。それからまた次のステージに立ちたいですね。創業者から二代目への事業承継のモデルとして、私が体験したことや考えたことが、どなたかのお役に立つかも知れませんし。末松さんともいっしょに何かできるかもしれませんね。楽しみです。末松さんも事業承継をみとどけてほしいと考えております。これからもよろしくお願いいたします。
※ サンコー物産株式会社のWebサイト
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末松大幸(すえまつ ひろゆき) トップコーチングスタジアム |
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